アメリカ大陸横断6,500kmの旅


 アメリカ映画「イージーライダー」を初めて見た時、主人公が薬中に 溺れ、撃たれて死んでいく結末がいやだった。そして、何年か後に同じ映画を 見た時には、ハーレーでアメリカ大陸を旅する彼らに、自分が持っていない 自由があると思い憧れた。そして、そこには想像も出来ない程のバカでかい アメリカの大地があった。
 そんなアメリカの大地を自分の手で走りたいと思い、「アメリカ横断大陸 ツアー」に行く事を決意した。
 ◆走行データ◆ アメリカ大陸 路上ROUTE66にて
日程: 1997年8月1日〜8月15日
走行: 6,500km
バイク: ハーレー各種
費用: ツアー代65万

◆金髪ネーちゃんの兆発
アメリカの長い直線 視界は360°草原  8月1日からの15日間、(LA→NY)と(NY→LA)コースの2グループ 各15人ずつで、アメリカ大陸をハーレーで横断するというツアーで、 私は(NY→LA)Bコースを選んだ。2つのグループは、途中アメリカ大陸の ど真ん中「オクラホマ」で1晩だけ合流して、また別れてゴールのLAを目指 すというツアーに参加した。

 8月1日、ニューヨークで初めて会う15人の仲間を現地のガイドが、 夜のニューヨークの街に連れて行った。

 その場所も「トップレス」でいわゆるストリップ。金髪の姉ちゃんが、 挑発的なポーズを取りならが目の前で踊り出す。 多少緊張しながらも「オー!スゲー!」と興奮する。

 アメリカの初日からこんな刺激的でいいのか?と思いながらも、 金髪の姉ちゃんに1ドルのチップを挟む。
 そしてまた熱い挑発的な踊りが始まるのである。こんな感じで初めての 海外がとんでもないスタートになった。

◆アバウトな60マイル
 翌日、いよいよアメリカ大陸横断のスタートだ!ニューヨークでハーレーを レンタルしてハイウェイを走る。十数台のハーレーが並んで走っていると アメリカ人から見ると異様な雰囲気だ!

 気さくなアメリカ人は、うちらのハーレーの集団を見てすぐに話しかけて くる。そして広大なハイウェイですれ違うトラックは、豪快にクラクション を鳴らして走り去る。
 トラックも何十メートルも続く程バカでかくアメリカそのものだ!

ROUTE66にて 仲間と夕日を望む  現地のガイドさんが素晴らしく、アメリカンチックでアバウトだ。 「宿まであと何マイルですか?」という質問に「もう少しだよ、 あと60マイルくらいかな」と応え、走れど・走れど宿には着かない。 結局100(160km)マイル以上走り、ようやくたどり着いた。

 こんなアバウトなガイドさんは、俺達にとって初めて見るアメリカ地図を 見せて、日替わりで誰かに、その日走るプランを発表させる。日本の地図と 違って、アメリカの地図はもちろん英語だし、アバウトに書いてある。 走行するルートを自分で見る事によって、徐々にアメリカで旅をしている 実感がわいてきた。

 バージニアから、ケンタッキー・テネシーを経てオクラホマへ。ここでは ロサンゼルスからやって来たグループと合流して、30台近いハーレーで ハイウェイを走りお祭り状態だった。

 2グループ・総勢30人程のメンバーで、レストランを貸しきって 夜の宴会が始まるのだが、見も知らぬ2人のアメリカ人のおじさんがやって きて、大量のビールをおごってくれた。
 このハーレーツアーの事は、地元のオクラホマでもニュースになったようで、 見も知らぬ日本人の私達をこの街は温かく迎えてくれた。

◆ゴッドバレー・・・(神の谷)
 アメリカ大陸も、西部に入ると360度永遠と続く草原から荒野へと 変化していく。もうここまでくれば、気分はイージーライダーそのもの。
果てしない荒野  モニュメントバレーの近くで、人っ子1人いないゴッドバレー(神の谷)と 呼ばれる所へ。ここは何もなく、もの凄い断崖絶壁がある。
 今まで景色を見て、言葉を失うほど感動する事はあまりなかった。
 でもここでは何も言葉はいらない。この地に自分が居て風が吹いている。 もうそれだけで充分だった。

 すると仲間の1人がインディアンフルートを吹いた。風の音と インディアンフルートの音。もうこれだけでアメリカに来てよかったと本当に思った。

 この15人の仲間はイベントが盛りだくさんで楽しい。
 お世話になった現地ガイドには、最後にビールかけが待っていて、もう プロ野球で優勝したようなお祭り状態。
 このツアー中に誕生日を迎えてしまった為に、顔面ケーキを食らう 可愛そうな(本当は羨ましい)奴もいた。

 カップルで参加している2人がいて、本当はこのツアーを婚前旅行にして いたが、せっかくだからと言ってラスベガスで結婚式を挙げてしまった。

◆ゴールはサンタモニカ
ゴールのサンタモニカにて  アリゾナ州に入ると、荒野から砂漠へと変わっていく。夏の砂漠地帯は 40度を越えるほどで、暑くてヘルメットのシールドを開けて風を受けようと するが、これがまた逆効果。ドライヤーのような熱風が顔面を襲い、このうえ ない暑さだった。こんな所でも楽しくて仕方がない。ハーレーに乗りながら、 訳もなく1人で声を出してしまうのは俺だけかな?

 ロサンゼルスに入って、旅もいよいよクライマックス。ハイウェイの トンネルを抜けると、そこには久々に見る海「サンタモニカ」が輝いていた。

 もう嬉しくて、サンタモニカの海では、みんな服を着たまま海に飛びこんでしまった。 「アメリカ大陸横断達成!」私にとっては初めての海外での達成感。 最高に幸せな時だと思った。

 初めての海外の旅が、こんなに最高でよかった。ビッグなアメリカの大地に 共に走った15人の仲間。そして犯罪の多いアメリカツアーを楽しく安全に サポートして頂いた現地のガイドさんに感謝したい。

   
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