夜のデリーは１人だとおそろしいと言われていた。タクシーやリキシャ(三輪のタクシー)に行き先を告げても、まともにその場所に連れてってくれない。そして勝手にニセモノ旅行会社に連れて行かされ、高いツアーを組まされてしまう。そんな噂を何回も聞いていたので、正直不安でいっぱいだった。
すると後ろから「ニューデリーに行くんですか？」という日本語の声がした。振り向くと20代前半位の若い青年がやって来た。
彼も初めてのインドらしく不安だったらしい。私は少しホッとした。
更にもっと不安そうな20歳位の女性2人組の日本人がやって来て「デリーの中心街まで一緒に行きまへんか？」と関西弁で言ってきた。その2人組も初めてインドに来て不安だという。
結局４人で30km程離れたデリーの中心街まで一緒に行く事になり、どうやって行くか考えていた。タクシーなら400ルピー(\1,000)、乗合いバスで70ルピー(\180)、市バスだと5ルピー(\13)とピンキリだ！
するとインド人がやって来て、１人70ルピーでワンボックスカーでニューデリーまで連れて行ってくれるという。あやしい感じもしたが、４人だけで乗れるという事なのでそのワンボックスカーで行く事になった。
荷物を車後部の荷台にのせようとすると、そのワンボックスカー運転手の助手のような男がやって来て、親切にもみんなの荷物を荷台に載せてくれた。
そして、車の運転手が私達４人を乗せて車を発進しようとした時、先ほどの荷物を載せた男が車外から窓に向かい手を出して「チップをよこせ！」という。
荷物を車の荷台に載せただけで、頼んでもいないのにチップをよこせとは図々しいと思った。しかし、しつこく手を出すので少しだけ払う事にした。「いくらだ！」と聞くと「１人20ルピーだ！」とボッてきた。仕方なく１人5ルピーずつだけ払い、車を発進させた。あの荷物を積んだ男は、ワンボックスカーの運転手と何の関係も無いただのチップ稼ぎ屋だった。
夜のデリー郊外は真っ暗で、暗闇の中から道端を歩いている牛を見た。インドと言えば「ヒンドゥー教」牛を神様をして崇めているため、牛を殺すことが出来ない。それゆえ街には野良牛が溢れている。
空港から１時間ほどで無事ニューデリーの安宿街「メインバザール」に無事到着。
空港から一緒だった若い青年は自分で泊まる所を決めていたらしく、すぐに去って行った。関西弁の女性2人組も無事に宿が決まり、私も日本で予めTEL予約していた宿に向った。
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| ニューデリーの街 | 道を歩いている野良牛たち | デリーのリキシャマン |
300ルピー(\750)のホテルにチェックインして部屋に入り時計を見ると、既に夜11時が過ぎていた。
初めてのデリーの夜。冒険心からか外を散歩しようと思った。
宿から真っ暗なメインバザールを郊外に向かい歩くと、道端に毛布に包まった浮浪者が大勢寝ている。そして、道のあちこちで黒い野良牛が寝ているのだが、暗闇で目立たないので間違えて牛にぶつかってしまった！すると寝ている牛がビクッと動いて私はビックリした。そして牛の近くで毛布に包まった浮浪者の１人が、私を見て何かブツブツ言いながら手を出してきた。「ヒエ〜〜！」心臓が止まりそうだ！恐くなった私はすぐさま宿へ戻り部屋に入った。
本当にこわかった！夜の静まり返ったニューデリーの街に浮浪者と野良牛があんなにいるとは思わなかった。夜で暗いという事もあるのだが、私にとって生涯忘れられないこわ〜いひと時だったのである。
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